2022/2/12

1番後ろの車両に乗ると電柱やビルが遠ざかって行くのがよく見えた。さっきまで見えていたはずの物が見えなくなって気がつけば新しい景色の中にいる。線路は間違いなく決まった場所へと俺を連れて行ってくれた。

 

自分の人生または運命の行き先が決まってるのだとしたら、とたまに考えてしまう。必死にもがいても、ただ流れに身を任せても、所詮は線路がどう敷かれているかの違いならば。それは「事前に決まってたことだしいいか」と何かを諦めるきっかけになるのかもしれない。届かなかった思いがそのまま野に朽ち果て花になるのを許すきっかけになるのかもしれない。しかし俺は自分の生活の行き先は望んだ方向であってほしいとどうしても願ってしまう。なかなか諦められなくなってしまう。誰かから見れば往生際の悪いだけのこの体たらくがいつか報われると信じてしまう。

 

自分の望んだ場所に行くように少しずつ重ねる。歩む。その行為すらも線路の上だったとしても。