相変わらず千葉で暮らしている。今では職場も家も千葉で、都内に出ることは年に両手で数えられるほどになった。この世の人の数だけ「地元」は存在していて、きっと俺がよく知っている誰かも意外な場所が地元だったりする。車が無いと生活できないような場所の出身の人には、首都圏の空気は濁って見えるのだろうか。
千葉での暮らしは不思議で、地元で一生を終えることができるくらいには利便性がある。都内でも働くことができて、派手に飲んでも終電は確実に津田沼駅まで連れて行ってくれて、月に5万も払えば駅にある程度近いアパートで朝を迎えることが出来る。まあ俺は実家暮らしだが。ここまで都内が近いと少しは東京に気触れてきても良いはずだが、案外「地元」感も市民の中には残っている。俺だけだろうか。
都内で暮らし始めた友達に対しては「地元を捨てて上京しやがったな」と思い、千葉で久々に知り合いとすれ違うと「これからもこの街で暮らしていこうや」なんてダサいことを考えたりもする。すれ違ったところで大体俺は話しかけられないけど。思い出したが、地元の行きつけのバーの店長は「ここは人が入れ替わっていく街だからここで店を構えることを決めた」と言っていた。こんな利便性がある街でも入れ替わりが生じるのだ。随分忙しない世の中になった。
どれくらいの友達が未だに千葉にいるのかわからない。いるならば情報が欲しい。そして話したい。あの時は楽しかったな、なんて愛しき俺たちの地元を散歩しながら。