仕事を2時間休んで中野サンプラザへ。Creepy Nutsとウルフルズのツーマンを観に行った。実はこのツーマンは2年前から計画されていたらしい。たまたまチケットを当ててくれた先輩と共に観に行った。
中野サンプラザには初めて入った。中はとても広く、普段観に行くライブハウスとは違い、丸く観客席がステージを包み込んでいるかのような印象を受けた。席は2階席の一番後ろの下手側の端。"ホール"である分その席からでもステージ全体が問題なく確認できた。お客さんもパンパンに入っていた。ほぼソールドアウトに近かった。
1番手はCreepy Nutsだった。ライブが始まった瞬間もう目の前にはCreepy Nutsの空間が出来ていて、"板の上の魔物"の一音目から引き込まれてしまった。そして今日のライブは二人の憧れだったウルフルズとのツーマン。Creepy Nutsのお二人がフジロックでウルフルズのライブを見た日から今日まで、真っ当に向かい合ってきた結果ウルフルズとツーマンをやれた。良いライブにならない訳がなかった。思わず俺もこれからの自分次第では目の前に立つ憧れと共演できるんじゃないか、と思わず自惚れてしまった。大好きな曲が続いた。曲の中でRさんが早口で捲し立てる度に、松永さんがアレンジでスクラッチする度に、ラジオと俺の二人きりだったいつかの深夜の中にいるような錯覚に陥った。何度逃げ出したくても、自己嫌悪に陥っても、明日が怖くても俺の逃げ場所を作ってくれて後ろめたさをラジオの向こうから肯定してくれた二人が俺の目の前でライブをしていた。
Creeepy Nutsに出会ってから、本当にネガティブな感情に押しつぶされた時に必要なのは、「頑張れ」と無責任な言葉をかけることじゃなくて、「俺もそうだったんだよね」と笑ってくれる存在だと知った。俺にとって二人はずっとそういう存在だった。それはこれまでも今日これからも。
今日の終盤には"Bad Oranges"を演奏してくれた。この曲が俺は本当に大好きで。この曲は(あくまで俺の解釈だけど)、隣の誰かとは違う自分で在りたいがために輪からはみ出そうとして上手くはみ出せなかった奴を肯定する曲だと思う。周りからはみ出したい、俺はこんなところで終わる奴じゃないと心の底で思っているのに、それを押し通す自信や勇気もなかった過去を悔やむ瞬間が俺にはあって。でも今更後悔したところでとっくに手遅れで。この曲を聞く度、そんな中途半端に腐った自分を「別にそのままでも良いじゃん」と背中を叩いてくれる気がして本当に暖かい気持ちになった。俺はこの曲のラストの"同じ木箱の中で分け合った痛みなら/それを知る俺達なら皆味方"と歌う部分では毎回涙が溢れてしまう(現に鼻にティッシュを詰め込みながらこれを書いている)。ラジオでもCDでも味方だった二人は、ライブでもやっぱり味方だった。
2番手はウルフルズだった。懐かしい曲が聴けた。あまりに遠い存在だったので、呼び捨てにしてしまい申し訳ないが、トータス松本は実在した。ライブ全体を通してもトータス松本はトータス松本だった。想像通りの人、と表現すれば良いのだろうか。その歌もギターもMCもトータス松本さんに抱いていた印象がそのまま出ていた。日本人みんなが一曲は知っているようなトップアーティストだが、どこか親近感があって、優しくて、「やたら親近感があるのにステージ立ったら超かっこいいお兄ちゃん」という印象を受けた。そういう意味ではCreepy Nutsと通ずるものはあるかもしれない。演奏が後半に行くたびに声に艶が出てきて心臓のど真ん中に直球で投げてくるかの様だった。良いボーカルはやはり歌に艶があるなあと勉強になった。Rさんも声に艶があった。生まれ持った声はもちろんあるけれど、ライブを積んだり練習を重ねていくうちに声が洗練されていくのだろうか? 今はまだわかっていない。
アンコールの二組でコラボした"大阪ストラット"はすごく格好良かった。良い金曜日だ。