2022/10/11

外に出たら雨は止んでいた。夜空にぽつりと浮かんだ月の光が街を照らしていて、雨上がりのアスファルトの匂いが鼻にゆるりと入って来るのが分かった。どうあがいても手が届かない事ばかりで、「いつか雨は止むよ」だなんて口にするのも憚かる昨今だが、やはりいつか雨は止んで、朝は来るし、気がつけばまた傘を差している。歩いて帰ってる時に何度か流れる雲が月を隠した。その度に細くなる光、でも間違いなくそこから光を放っていることだけは今の俺には分かっている。