2022/5/20

結局荷造りが終わったのは朝方で、今にもはち切れそうなキャリーバッグとクマができた目を抱えて新幹線に乗り込んだ。上野、大宮……と知っている地名が続いたが、目を覚ますと名前も知らない土地と土地の間を新幹線は走っていて、田んぼと遠くに生い茂った山々のみが車窓に映された。東京から4時間。目的地に着いた。タクシーに乗って事業所に向かう。花火が有名な土地なので花火にまつわる看板が多く目に入った。事業所で挨拶をして車で街をぐるぐるとする。どこもかしこも駐車場が大きかった。店員はやたらと訛っていた。早めに解散して家へと向かう。家具が揃ったワンルームは少し埃が待っていて、自分とは違う匂いがした。窓からは隣の家の屋根しか見えなくてお世辞にも景観が良いとは言えなかった。

 

 

知らない街で初めて一人で暮らす。知り合いなんて一人もいない街、擦れた心を癒してくれるのはこれから新しく出会う誰かなのだろうか。未来のことは何もわからないが、とりあえず明日はギターと自転車を買おうと思う。このワンルームでは出来るだけありのままの自分で居るために、自分の成分を少しずつ増やしていくしかない。