久々に日高屋で飯を食っていたら、学生時代の帰り道にどこにも行く場所がなくて池袋駅西口の日高屋で毎日のように一人で酒を飲んでいた日々を思い出した。当時の俺は本当に何もかもが上手くいかなくて、池袋を希望に満ち溢れた顔で歩く若者たちを勝手に妬んで、自分との違いで勝手に落ち込んでいた。いつかあんな風になれたら、と思って頼んだ唐揚げとレモンサワー。学生時分の俺にはとても良心的な価格で手軽に嫌なものから逃れられた。
就活の時には夜遅くまで池袋駅西口のミスタードーナツで履歴書を書いていた。バンドも活動休止していてthe就活生な日々。将来に対する不安しかなかったが、あの時のおかわり無料のコーヒーの暖かさは東京の冷えた風で凍りついた心を溶かしてくれるかのように感じた。そういえば、履歴書を書いている最中に大学のサークルの後輩が彼女と入ってきたことがあった。白いイヤホンを二人で分け合う後ろ、前髪をこれでもかと短くした俺は気づかれないようにそっとミスドを出て隣のマクドナルドに逃げ込む。人でごった返す2階の席、履歴書を目の前に安いコーヒーを飲みながら、何故か涙が出てきて、スマホで開いていたマイナビを閉じて返信の来ないトーク画面をぼやけた視界で眺めていた。粘ったけれど、既読すらつかず、履歴書も最後まで書けなかった。
津田沼駅前の日高屋。そういえばそんなこともあったなと思いながら麺を啜った。店を出てミスドに寄ろうかとも思ったが、時計を見ると時短営業のせいでテイクアウトしかやっていない時間帯だった。コロナ前に学生を終わらせてよかった。こんな時代じゃ逃げ場所すらない。