2022/2/5 ②灯人で初ライブ

自分では気がついていなかったが一日を通して全身に力が入っていたようだ。ライブを終えた次の日、結局ベッドに入った時には外が明るくなっていた。節々が痛むのと同時に身体全体に血が脈々と流れているのを感じて就寝。気がつけば18:00まで寝てしまっていた。12時間。半日気絶していたにも関わらず未だに全身が筋肉痛になっていて驚いた。

 

 

 

2/5は灯人として初ライブ。朝10:00から船橋でスタジオだった。最終調整をした。個人練習でやったことを少しでも出せるように意識する。ライブ本番は緊張するとかしないとかそんな話をした。サポートの二人はあまり緊張しない側の人間で俺はガチガチに緊張する側の人間だった。細かいところを確認して景気良く終わらせた。

 

 

 

ドラムのサポートのマキタさんの車で移動。佐倉のバンドの曲と懐かしい曲と巷で人気のバンドの曲がシャッフルで流れる。official髭男dismはpretender以外の曲を初めてフルで聴いたかもしれない。相変わらず流行りに疎い。いい加減鬼滅の刃や呪術大戦も読んだ方が良い気がしている。車は土曜で混む国道を避けてマキタさんの知っている裏道を通って進む。その間も沢山の曲がシャッフルして流れる。窓の外を見て、知らない場所がまだまだあるなあと思った。やけに晴れた土曜日。子供の手を引いて歩く母親が遠ざかる。そう、今日はいつもの休日の昼下がりだ。また別の誰かの日常が車窓に映ってそして消えた。

 

 

 

ライブハウスに到着。入り時間よりかなり早く着いた。リハまで時間があったので3人で丸亀製麺に行く。しっかりと食べた後ライブハウスに戻ると今日の共演者がほとんど集まっていた。各所に挨拶をする。リハを見て士気を高める余裕もなく自分のリハ。相変わらず音が大きくなってしまう。ボリュームを下げた。

 

 

 

そこから本番までの時間は散歩してMCを書き下したり共演者に挨拶をして過ごした。その間も気が気じゃなかった。あと少しでステージだと思うと心臓が痛くなった。タツトさんと本番前に話したことで少し気が楽になった。何を話したかは書かない。俺の胸だけにしまっておけば良いから。

 

 

 

ミーティングを終えてすぐにオープン。今日初めて会うFamilleと何度か共演した中川共喜君のバンドの演奏を見る。年下に背中を押されたかのような気分になる。中川くんの曲は相変わらず良かった。楽屋でサポートの二人と話していると二人とも本当にいつも通りの雰囲気だったから少し気分が和らいだ。タツトさんの真似をして身体を伸ばした。ストレッチはこれからも本番前にやろう、とこっそり決める。

 

 

 

ステージをセッティングしてマイクの前に立つ。知っている顔が沢山見えた。ステージ前の柵の手前にあるカメラの向こうで見ている友達の顔が浮かんだ。良い音楽を作ったから、良い演奏を届けたかった。本番が始まる。1弦がピックアップに引っ掛かってやけに高い音が鳴った。身体が強張っていた。フロアとカメラの奥にある何十個もの瞳と目を合わせる。

あんたはどう思う、あんたはどう思う。……俺はやっぱりこう思うんだよ。

スタジオよりも自分の声とギターが大きく聴こえた。ピッチが合っていない気がする。でも良い演奏をしたい。手が震える。フレットがどこだかわからなくなる。

あんたはどう思う、どう思う。

 

 

 

ステージが暗転してフロアが照らされた。頭をもう一度下げた。機材を片してフロアで転換中に各所に挨拶。中川くんとSubanaの栗原さんがそれぞれ別の曲を良いと言ってくれた。そうか、聴こえてたか、と安心した。

 

 

 

その後はTHE YORKIEとSubanaのライブを見た。Subanaが相変わらず全部を持って行ってしまった。最後にやっていた春が散るという曲は廃盤になってしまったCDの曲らしいが、それが一番印象に残った。

 

 

 

精算では「お前が一番緊張してどうする」と言われ胃が痛くなった。でも成長した部分もあったと言われた。相変わらず全部見透かされていた。本当にサンストのスタッフには頭が上がらないし、一生隠し事もできないだろう。白幡さんとも話す時間が取れた。今の課題を指摘されるのと同時に先輩と音楽を鳴らすことのメリットを話した。当面は正規メンバーを見つけないで、サポートを入れたスタイルでやろうと決めた。なんにせよ好印象だった様で良かった。「面白いことできそうに思った」と言ってくれて嬉しかった。

 

 

 

マキタさんとタツトさんとも話した。今日のライブを経た感想や印象を話してくれた。先輩に支えられた25分だった。タツトさんがライブの最初でベースの音が出なかったことを気にしていた様だが、そんなことはどうでも良かった。俺にとっては人と音楽を鳴らせることが何よりも大事だった。

 

 

 

打ち上げはなかったがSubanaとも曲作りや歌詞の話が話せた。お互いのルーツは似てるところにあったし、シンパシーを感じた。連絡先も交換した。次に志津に来るのは4月らしい。きっとライブは見るだろう。出来れば配信ではなく現場で見たい。

 

 

 

帰りは海野さんに送ってもらった。サウナは営業していたので二人で入った。海野さんからも今日のライブの印象を聞けた。帰りにミニストップで味噌汁を買って飲んだ。飲んだ瞬間それが血となり肉となるような気がした。こうやって人と風呂に入ったりご飯を食べることが日々のすり減った心を癒してくれるのだ。

 

 

 

家に帰ってベッドに沈む。始めて身体に入っていた力が抜けた。気絶する前に歯は磨いた。外は明るかった。もっとこうしたい、ここを改善したい、とか思いつつも就寝。長い一日が終わった。