高校時代、別の高校の先輩にバンドのことで相談を持ちかけたことがある。自分の高校の先輩を通じて知り合った方だった。彼はいつも沢山の人に話しかけられていて、彼の周りの人たちはいつも楽しそうにしていた。「こういう人を人気者と呼ぶのだろうなぁ」と思った。正直羨ましかった。彼は俺にも話しかけてくれて、高校も学年も違う俺の名前をすぐに覚えてくれた。思い切って相談を持ちかけた時には、言葉を慎重に選びながら率直な意見を言ってくれた。機材トラブルで音が出なくなって散々なライブをしてしまった時には、隣に来て肩をさすってくれた。彼が周りの人に愛される理由が何となくわかった気がした。
今日はげんきさんがアシタカラホンキ!で演奏する最後のライブだった。お客さんが沢山見にきていた。久々に会う先輩の姿もあった。みんながげんきさんに会いにきていた。今日出ていたバンドもお客さんと同じく彼のために集まっていて、各々の形で彼へのエールを送っていた。誇張ではなく全バンドで涙が出そうになった。最後のアシタカラホンキ!のライブは、げんきさんも、アシタカラホンキ!のメンバーも、お互いがお互いの"前"を向いていた。寂しくない、と言ったら嘘になるけれど、ホンキもげんきさんも音楽を続ける選択をしたからこそのライブだった。色々な気持ちで胸がいっぱいだった。そして同じ気持ちと時間を共有できる人たちがあの場所に沢山いた。げんきさんが高校生の頃から変わらず、バンドやお客さんと向かい合ってきたから今日みたいな空間を生むことができたのだろうな、と思った。
こうやって文章に起こしてもまだ胸がいっぱいだ。本当に良い一日だった。げんきさんは俺の憧れです。