2022/5/7

祖父の通夜。昼から雨が降ったり止んだりを繰り返してどこかすっきりとしない天気。雨に濡れたシケモクを見ると、結局煙草をやめられなかった祖父を思い出さずにはいられなかった。

 

 

人の死を実感するのが苦手で、どこかで生きているんじゃないかと思ってしまう。花に囲まれた祖父の写真を見てもそれはそうだった。棺の中で横たわる祖父は、写真と違って髪も体重も大きく減ってしまっていた。未だに人類は抗がん剤以外の癌との闘い方を見つけていないらしい。消防団に属していた祖父の通夜には有難いことに沢山の方が参列してくれた。見たことない顔がほとんどだった。見たことある顔も俺には気がついていないようだった。いつの間にか親戚付き合いが苦手なまま大人になった。祖父が人懐っこい性格で、その血は継いでいるはずなのにどこで間違えたのだろうか。線香の香りが鼻の奥に残っている。