雪はほとんど溶けていた。あれほど街全体を白く染めていたのに、今では歩道の脇に土と共に汚らしくまとめられていた。2日前に比べると随分と歩きやすくなった。
沢山の町で成人式が行われていた。もちろん俺の住む町でも振袖姿の若い女性やサイズの合っていないスーツを着た男性が沢山いた。個人練に行く途中には、恐らく久しぶりの再会で連絡先を交換しているかのような場面にも遭遇した。大人になるのがどういうことなのかは未だにわかっていない。成人式。大人になることができる式ではなく、大人になるように促される式なのではないか。当時はそこまで考えていないだろうが、今日この日は精神的な成熟をしているか否かは関係なく、今後は大人として振る舞うように命じられる式である気がしてきている。
自分は成人式から4年経ってどうだろうか?本当の意味で大人になれただろうか。考えたが恐らくまだまだ子供だ。「いい加減大人になりなよ」と白い目で見られることも増えた。しかし、自分の子供な部分があったお陰で現在の自分へと繋がっているとも思っている。
試行錯誤しながらもここまで来た。この4年間で沢山の人に揉まれて手放したもの、捨てたもの、失ったものがあって、同じようにどうしても手離せなかったものもあった。どれだけ手から血を流しても手放せなかったものがあった。皮肉にも当時ハンドルを真っ直ぐにしてアクセルを踏み込んだ先の現在地点に今は立っている。4年前も今も同じ道の上に立っている。この道が正解かどうかはまだわからないが。
20歳になった方々、成人おめでとう。
4年前の俺へ、とりあえず今のお前のままで大丈夫だと思うよ。