2023/12/14 エンジン

自分は人として大きく欠落しているなぁ、と感じる。周りの友達と比べて。対バンと比べて。後輩と比べて。先輩と比べて。「人と比べてどうであるか」よりも、「じゃあ自分がどう在りたいか」だろう?と言い聞かせても考えてしまう。顔面も、身長も、男らしさも、気遣いも、センスも、優しさも……。たくさんのエトセトラが日々足りていないなぁと落ち込むことが多い。

 


『小学校のマラソン大会で10位以内に入れたら新しい自転車を買ってもらう』という約束を親としたことがある。誰かが持っているようなピカピカの自転車がもらえると思って沢山走った。臨んだマラソン大会で出た結果は20位台。その時から漠然と"そちら側"に行けないのだな、と気がついていた。

 


中学生の時に生まれて初めての恋をした。振り向いてもらえるように、今思い出しても恥ずかしくなるようなことを沢山した。その子と関われる時間はただ愛おしかったし、俺と話してるときのその子が一番楽しそうだと感じていた。他の誰かが話してるのを見ると嫉妬した。人生初めての告白の答えは"ごめんなさい"の一言だった。後日隣のクラスの身長が高いイケメンと歩いているのを見た。その男はいつも誰かに囲まれているような奴だった。"そちら側"にいる彼と俺の間に存在する深い溝はどこまでも深いものだった。二人で歩いているのを見た瞬間から、急に自分が醜くおぞましいものに思えてしまった。今までの自分がしてきた恥ずかしい行為や態度を思い出しては我に返ってしまい、とても生きてる心地がしなかった。

 


高校生のときにSound Stream sakuraでバンド対抗戦に出演した。バンドを始めて、ここで対抗戦に勝てれば大きな自信に繋がると思って沢山練習した。メンバーと何度も話し合いをして、個人練習に沢山入った。迎えたライブは今までで一番良いライブをできた。結果、俺のバンドは下から数えた方が早い順位になった。ギターを始めて、バンドをやりだし、俺は無敵だと思った時から沢山の挫折をした。何となく感じていた自分の足りなさすらも凌駕するようなライブをしたかった。したつもりでいた。"そちら側"に行けたつもりだった。俺たちに、いや俺にあった少しの「足りなさ」から"そちら側"に行けなかった。そして行けたとしてもまだ上には上がいた。生まれて初めてした挫折だった。PAのザキさんがツイートで「個人的ベストアクトはHowever(当時俺がやっていたバンド)です」とツイートしたり、ブッキングの野口さんから今日の俺たちを励ましてくれるLINEが来なかったらバンドを辞めていたかもしれない。

 


オードリーの若林さんと南海キャンディーズの山里さんがやっていたお笑いコンビ『たりないふたり』では解散ライブを観て号泣したことがある。なんで号泣したのかというと、二人が「足りなくて良かった」と言って、自分の足りなかったことを肯定してライブを締めたからだ。"再会の佐倉"では俺らはあの日持ってる100%を出したし、その100%できちんとVarrentiaとOrganic Callと The Cheseraseraに負けた。特にフロントマンとしての力は到底及ばないものだった。大きく勉強になったし、すごく3バンドを尊敬したし、これからも着いて行きたくなった。足りなかったことをあげればキリはないし、悔しい思いの方が多い。ただ、今の自分はその足りなさを埋めて、その先でさらに悩みたいとも感じる。ハングリーにキリはない。まず今の足りなさを埋めるために邁進する今日この頃だ。

 

 

沢山の失敗と挫折をした。初めて書いた小説も、勉強も、恋愛も、ギターも、歌も、バンドも、人間関係も、仕事も。沢山の失敗と挫折をした。"再会の佐倉"も一つの挫折だった。もっとフロントマンとして、一人間として、もっともっと成長しなくてはいけないと感じた。自分の足りなさを多く感じた。ただあまりネガティブではない。

 

 

自分は人として大きく欠落しているなぁ、と感じる。ただ、その欠落とハングリーさは俺を前に進めてもいる。